1958 年 2 巻 3 号 p. 223-226_1
ヨトウムシの前蛹からとったいわゆる活性化した前胸腺を休眠幼虫に移植すると,脳や食道下神経節の在,不在に関係なく,アラタ体の存在するかぎり正常な蛹化は起らないでプロセテリーを生ずる。しかしアラタ体を摘除して同様処理すると休眠幼虫の蛹化は著しく促進される。
これまでの実験結果から,ニカメイチュウの幼虫休眠はアラタ体の高い活性を伴う脳∼前胸腺系活力の一時的喪失ということによって特徴づけられているように考えられる。
なおアラタ体は後休眠期を通じ次第にその活力を低下する。