日本応用動物昆虫学会誌
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クロルジメホルム,ジコホルおよびフェントエートで淘汰したカンザワハダニの薬剤抵抗性の発達と遺伝様式
桑原 雅彦
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1977 年 21 巻 3 号 p. 163-168

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抄録

二系統のカンザワハダニをクロルジメホルム,ジコホルおよびフェントエートによりほぼLC50の濃度で毎世代淘汰し,感受性の変化を調べた。そして,育成した抵抗性系統と感受性系統を交配し,薬剤感受性を検定して遺伝様式を推定した。
(1) クロルジメホルムとフェントエートに対する感受性は,これらの薬剤による淘汰とともに急激に低下し,いずれも8∼9回の淘汰によりほぼプラトーに達した。しかし,ジコホルに対する感受性は10回の淘汰を行なってもほとんど変化しなかったが,その後の淘汰によって次第に低下し,20回の淘汰によってほぼプラトーに達した。したがって,薬剤の種類により感受性の低下に差異があることが認められた。
(2) クロルジメホルムおよびフェントエート抵抗性は不完全優性の単一因子に,ジコホル抵抗性は不完全劣性の単一因子によりそれぞれ支配されており,これらの抵抗性因子はいずれも雌雄の常染色体上に存在すると考えられる。

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