日本応用動物昆虫学会誌
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ニカメイガの性フェロモンの室内誘引試験法
空調温室を利用した簡便な試験法の一例
栗原 政明田付 貞洋内海 恭一深見 順一
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1978 年 22 巻 2 号 p. 92-97

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抄録

ニカメイガの性フェロモンの室内誘引試験法を空調温室内においたフライトチェンバーと箱型の粘着トラップを用いて確立した。オス成虫のフェロモン源への定位に必要な気流は,温室に供給される温湿度一定の空気を導入して得た。トラップは入口を狭めてフェロモンの誘引によらないオスの飛び込みを防いだ。2個のトラップの一方に処女メスを入れオスを放飼すると,オスは処女メストラップのみに捕獲された。放飼オスを20∼100頭の範囲で増やすとトラップ捕獲は若干上昇した。処女メスは1∼20頭の範囲では,増やしてもオスの捕獲率にはほとんど差がなかった。トラップの高さも床上25cmと75cmの間ではオスの捕獲率には影響せず,各々の高さに2個ずつ,計4個のトラップをおくことも可能であった。
上記の装置により,合成性フェロモンの誘引性をテストした。性フェロモンを各々0.1, 1,および10mg吸着させたゴムセプタムのうち,1mgのゴムセプタムにのみ誘引性がみられ,合成性フェロモントラップにオスが捕獲されるためには,化合物の狭い範囲の蒸発速度が必要であると思われた。

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