日本応用動物昆虫学会誌
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土壌中の核多角体病ウイルス多角体の精製と同定
福原 敏彦
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1982 年 26 巻 3 号 p. 183-187

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抄録

アメリカシロヒトリ核多角体病ウイルスで人為的に汚染された土壌と自然状態でウイルスに汚染された野外土壌から多角体の回収を試み,次のような結果を得た。
1. 人為汚染土壌から多角体を精製するには,ピロリン酸ナトリウム水溶液中で振盪してから,デキストラン-ポリエチレングリコールから成る水性2層分配系に加え,その上層を採取すればよい。
2. 多角体回収率は2層系の組成が濃度境界曲線に近いほど高く,土壌のウイルス汚染度を低くしてもあまり低くならなかったが,2層系に混合する土壌量が多くなるにつれて低くなった。
3. 自然汚染土壌からピロリン酸ナトリウム処理と水性2層分配と連続遠心分離により多角体を精製した。この多角体はアミドシュバルツ染色では黒緑色を呈し,間接螢光抗体法による観察では黄緑色のFITC螢光を発した。

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