日本応用動物昆虫学会誌
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カイコの終齢期における幼虫皮膚の組織学的変化と血中エクジステロイド濃度との関係
森 精木口 憲爾
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1985 年 29 巻 4 号 p. 284-297

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抄録

カイコの終齢期の幼虫皮膚を光学顕微鏡および電子顕微鏡で経時的に観察し,皮膚の組織学的変化と血中エクジステロイド濃度との対応関係を調べた。5齢脱皮直後のクチクラにはほぼ15層の層状のクチクラが観察される。その後摂食期間中1日に7∼12層の層状クチクラが分泌され,熟蚕時には約70層に達する。血中にエクジステロイドが認められ始める熟蚕約8時間前頃になると,真皮細胞相互の間に細胞間隙が形成され始め,この細胞間隙は熟蚕期および吐糸期にきわめて顕著になる。また細胞間隙の出現と同時に真皮細胞とクチクラの境界部にecdysial dropletsと考えられる不定形の暗調小体が生成され,これがクチクラに移行して脱皮層をつくり,クチクラの分解が進行する。明瞭なlarval-pupal apolysisはガットパージ後12時間以内に起こり,吐糸営繭中に急激に進行する。一方,摂食期間中の真皮細胞にはよく発達したマイクロビリーが観察されるが,摂食停止とともに不活性な状態を示し,その後エクダイソン分泌の蛹化誘導臨界期にあたる70%吐糸時頃から再度,よく隆起したマイクロビリーが観察される。新しい蛹クチクラの分泌は吐糸終了後急速に進行する,などの諸点が明らかになった。
以上得られた知見と血中エクジステロイドとの対応関係に基づいて,カイコの5齢期における発育のタイムテーブルを作成した。

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