3 巻 (1959) 1 号 p. 49-55
ツマグロヨコバイは幼虫態で越冬するが,休眠はしないといわれてきた。しかし条件によつてはいろいろな休眠様現象を示すことがわかつた。
1) 20°Cで短日(8時間照明)および自然日長(約14時間30分)で初令より飼育すると,前者では4,5令で明らかな発育遅延が見られ,幼虫は暗色を帯びる。一方後者では正常に発育し,脱皮直後も黄緑色を帯びる(第1図)。
2) 照明時間(8時間)中を30°C,暗黒時間(16時間)中を10°Cとするような変温下では.幼虫の発育遅延はさらに明らかになるが,同じ変温条件下でも連続照明下では発育は正常である(第2図)。
3) 30°Cでは長日,短日ともに発育遅延は見られなかつた。
4) 20°C, 8時間照明下で4令化した幼虫を連続照明下に移すと発育は促進される。また同じ幼虫を30°C下においても発育は促進されるが,同じ30°C下でも長日下のほうが促進の程度は高い(第3図)。
5) 同じ幼虫を10°Cで50日以上低温処理するとその後20°C, 8時間照明下においても正常に近い発育をするようになる傾向が見られた(第6図)。
6) ここで見られた発育遅延は,その誘起に対してある範囲内の温度での短日の効果が明らかであり,その他以上の諸点よりみて,やはり一種の休眠状態にあるものと考えられる。
7) ヒメトビウンカ幼虫における休眠と比較し,多くの類似点を見出すことができた。