日本応用動物昆虫学会誌
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アワヨトウの相変異
IV. 不適な食草に対する幼虫の耐性は相によつて違うか
巌 俊一
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1959 年 3 巻 3 号 p. 164-171

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抄録

1) アワヨトウ幼虫の相による食物耐性の差を調べるため,5令まで1シャーレあたり1, 10あるいは20頭の各密度で飼育した幼虫を,終令期にすべて密度1に分離して,好適な食草(トウモロコシあるいはイヌムギ)のほか,ササ,シロナ,イノコヅチおよびアラカシなど不適と思われる食草によって飼育した。
2) 一般に不適当な食草では,終令期の日数が長くなり,さなぎ体重は減少し,死亡率も増加する。ササやシロナではこのような悪影響は比較的少なく,前者では密度間の差もはっきりしないが,後者では低密度型(淡色)幼虫のほうが高密度型(黒色)より終令期間の延長,さなぎ体重の減少,およびそれらの個体変異の増大が著しい。更に不適度の高いイノコヅチで飼育した場合には,上記の点のほか死亡率の増加も低密度型に顕著に現われる。アラカシを与えた場合はすべて数日中に死亡し,密度型間の差はみられなかった。
3) 好適な食草における両密度型の重量成長のパターンをみると,高密度型は低密度型より5令から6令へかけての体重増加比が小さいが,よう化の際の体重減少歩合も少なく,結局5令眠体重に対するさなぎ体重の比は両者でほとんど違わない。不適な食草では6令最高体重は減少するが,その程度は高密度型のほうが少なく,一方よう化時の重量損失率の差は変わらないので,さなぎになるまでの成長率は高密度型のほうが大きくなる。不適な食草における幼虫期の延長は低密度型のほうがはなはだしいから,これらの重量比を時間軸に対してとれば,両密度型の成長パターンの違いは一層はっきりする。
4) 幼虫1頭の1日あたり平均排ふん数は食草が不適になるにつれ減少するが,この減少度は低密度型のほうが少ない。この事実と体重増加率の低下度が逆に低密度型においてはなはだしいことを考え合わせると,不適食草における同化の効率は高密度型のほうが高いのではないかと思われる。

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