日本応用動物昆虫学会誌
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モンシロチョウ鱗片顆粒の形成過程
和久 義夫北川 全宏
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1986 年 30 巻 1 号 p. 35-42

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抄録

モンシロチョウ成虫鱗片内部に特徴的に現われる顆粒(おそらくロイコプテリンなどのプテリン類を含む)の形成過程を,電顕観察により追及した。蛹期は7日間であったが,その4日目には将来鱗片となる生毛細胞の鱗片突起に顆粒の始原が出現し,5日目にはこれが成長して完成顆粒となった。始原顆粒は,太さ約10nm,長さ約200nmの細い繊維状構造物がやや粗に集積したものであるが,完成顆粒ではこの集積がさらに密になりかつ大型になる。顆粒の限界膜や顆粒形成の核になるべきものは見られなかった。また顆粒の形成は鱗片突起内に限られ,生毛細胞の本体やその他の細胞ではまったくなかった。さらに顆粒の数は雌よりも雄がはるかに多かった。このような形成過程は他の顆粒では見られない特徴的なものであるので,その意義について論じた。

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