日本応用動物昆虫学会誌
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スジキリヨトウ個体群における微胞子虫感染率の季節変動
岩野 秀俊
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1987 年 31 巻 4 号 p. 321-327

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抄録

シバやイネ科牧草の害虫であるスジキリヨトウ野外個体群の密度調節に微胞子虫がどのように関与しているかを知るために,ライトトラップを用いて,採集した成虫における微胞子虫感染率の季節変動を調査した。
1) 調査地点での成虫の発生消長は,すべて年3化型であり,各世代別の平均感染率は越冬世代が9.2%,第1世代が9.6%,さらに第2世代が14.5%で,世代が進むごとに漸次,高くなる傾向がみられた。
2) 成虫1頭あたりの検出胞子数の世代別変化は,感染率の増加とは逆に世代の進行とともに検出胞子数の少ない個体が増加していた。
3) 分離胞子群はその胞子サイズが,l=3.37∼4.46, w=1.85∼2.50μmの分布範囲内に納まり,そのなかには,家蚕の微粒子病病原体であるN. bombycisと近似したサイズを有する胞子も含まれていた。
4) 分離株のなかには,家蚕に対して感染性を示す株が存在し,そのうちの2株はN. bombycis同様にほぼ全身的に感染した。

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