31 巻 (1987) 4 号 p. 359-368
ビニールハウス栽培キュウリのハダニ防除を,他害虫防除用農薬と薬剤抵抗性チリカブリダニ(DAS系統)とを併用して実施し,さらに防除の効果とそのプロセスをシミュレーションモデルと比較した。
DAS系統はfenitrothion散布を繰り返すことにより,それに対する感受性が低下した。しかし,4∼6か月の薬剤選抜停止によって感受性の復元が認められた。
殺菌剤7回,fenitrothion 4回散布条件の下で,DAS系統チリカブリダニ雌をナミハダニ雌に対して約1:10の比率で放飼したところ,ハダニは十分に抑制された。とくに,カブリダニ放飼後7日あるいは10日目に初めてfenitrothionを散布した場合に,薬剤無散布区とほぼ同様の被害抑制効果があった。これらの場合の葉の被害指数は放飼時点で1.3であり,最高でも2.0を上回ることはなかった。しかし,経済的被害許容水準を考慮すれば,適正な放飼時期は被害指数の低い(1.0前後)時点であると考えられた。
シミュレーションによって実験結果をよく再現するためには,ハウス内で測られた平均気温およびチリカブリダニの定着率の修正が必要とされた。
この二つの修正が妥当かどうかは今後の課題であるが,修正後のモデルによる理論値は全実験において実測値とほぼ一致した。これによって,今回のモデルで薬剤散布条件下のカブリダニによるハダニの防除結果をある程度予測できることが示唆された。