日本応用動物昆虫学会誌
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ヨトウガ類の相変異に関する内分泌学的研究
II. アワヨトウおよびクサシロヨトウ幼虫の体色黒化に果たす幼若ホルモンの役割
小島 研一八木 繁実
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1989 年 33 巻 2 号 p. 69-75

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抄録

アワヨトウおよびクサシロヨトウを用いて,相変異に伴う幼虫体色の黒化における幼若ホルモンの役割を明らかにするため,JHAの局所施用や内分泌器官の摘出・移植実験を行い以下の結果を得た。
1) アワヨトウ集合飼育幼虫では側心体・アラタ体連合体の摘出により体色黒化が抑制されたのに対し,摘出後JHAを施用した場合にはかなりの黒化が認められた。また集合飼育幼虫の遊離腹部に食道下神経節を移植しさらにJHAを施用することによって,食道下神経節の移植のみの場合より強い黒化が誘起された。しかし,食道下神経節を移植せずJHAのみを施用した場合には,体色は淡いままであった。
2) クサシロヨトウの集合飼育幼虫の場合も側心体・アラタ体連合体の摘出およびJHAの施用によってアワヨトウと同様な結果が得られた。しかしクサシロヨトウの場合,より高い濃度のJHAの施用によって黒化が抑制され,とくに頭蓋部で顕著であった。この黒色化抑制作用は脱皮4時間前の処理でも観察された。またアワヨトウ集合飼育幼虫の食道下神経節をクサシロヨトウ集合飼育幼虫に移植した場合にもJHAによる黒化の抑制が認められた。

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