34 巻 (1990) 4 号 p. 283-287
シラカンバの形成層潜孔虫ミノドヒラタモグリガはピスフレックの原因となる。卵は葉裏に産み付けられ,1葉上の卵数は通常1個であり,また,葉の中央部に集中していた。孵化幼虫は葉内に潜孔し,葉脈,葉柄を通って枝内に侵入していた。その後,枝あるいは樹幹内を基部に向かってほぼ直線状に進み,次いで細長い楕円形を終齢幼虫期までに4∼5回描きながら形成層を潜孔していた。終齢幼虫は(脱皮してから)形成層を多少潜孔した後,脱皮前に形成した潜孔痕の最終の楕円に侵入し,その楕円を1周近く再び潜孔してから樹皮に穴を開け外部に脱出していた。幼虫は主として枝や樹幹の樹冠内の部分から発見され,樹幹では梢端から2∼3m下方で最も多かった。この要因は,産卵部位が葉であることおよび幼虫が産卵部位から枝や樹幹の基部に向かって1m程度しか移動しないことと考えられた。