日本応用動物昆虫学会誌
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ツゲノメイガの生活史に関する研究
II. 幼虫の発育経過
丸山 威真梶 徳純
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1991 年 35 巻 3 号 p. 221-230

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抄録

ツゲノメイガGlyphodes perspectalis (WALKER)の生活史を解明するため,非休眠世代と休眠世代の幼虫の発育経過を調査した。
1) 25°Cで個体飼育された非休眠幼虫は6齢期を経過した。また,各齢期の発育期間は1∼5齢は3日前後,6齢は約8日であったが,雄の6齢幼虫期間は雌より約1日短かった。
2) 3種のツゲを用いて20°Cで個体飼育した非休眠幼虫は,餌によって経過齢数が5∼7齢期に変化した。平均経過齢数はクサツゲが5.6齢,セイヨウツゲが5.9齢,チョウセンツゲが6.0齢となった。また,雄に比べて雌の経過齢数が多い傾向にあった。
3) 室内条件下で休眠誘導した幼虫は,20°Cではほとんどのものが4齢期であり,これは餌によって変化しなかったが,日長時間が長くなるにしたがって,5齢幼虫の割合が増加した。一方,15°Cと25°Cでは5齢幼虫で休眠に入るものが半数以上を占めた。また,これらの休眠幼虫の頭部の大きさは同齢期の非休眠幼虫より明らかに小さかった。
4) 休眠に至るまでの幼虫発育日数を調査したところ,若齢幼虫の発育期間は非休眠幼虫との間に差はみられなかったが,休眠直前の齢期すなわち休眠繭を形成するステージで発育遅延がみられ,非休眠幼虫のおよそ2倍であった。
5) 野外で越冬した幼虫を用いて,その後の発育経過を観察したところ,越冬世代幼虫は,非休眠世代より1齢期多い7齢期を経過することが明らかとなった。

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