日本応用動物昆虫学会誌
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ヤママユガ科Samia属の産卵習性
齊藤 準
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1993 年 37 巻 3 号 p. 163-167

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抄録

エリサン,シンジュサンおよびこれらの亜種間交雑種について25±1℃, 16L-8Dの光周条件下で産卵習性を調査した。
1) エリサンの産卵の経時的変化は,交尾蛾では交尾後1日と2日の暗期に総産下卵数の約75%が集中的に産卵され,明期での産卵はほとんどみられなかった。一方,未交尾蛾では,羽化後3日から8日までの長期に渡り明暗両期間で産卵がみられた。
2) エリサンおよびシンジュサンそれぞれの雌蛾1頭当りの卵塊数は,エリサンよりも,シンジュサンの方が約2.5倍多かった。
3) エリサンおよびシンジュサンそれぞれの産卵習性は,エリサンで1卵塊当りの産下卵数が50卵以上にも及ぶ集中性の大卵塊を形成したのに対して,シンジュサンでは,1~10卵程度の比較的少ない産下卵からなる散在性の小卵塊を形成した。
4) エリサンとシンジュサンの亜種間正逆交雑種(F1)におけるそれぞれの産卵習性を調べた。エリサン♀×シンジュサン♂のF1雌蛾は散在性の小卵塊を形成し,シンジュサン♀×エリサン♂のF1雌蛾は集中性の大卵塊を形成した。

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