日本応用動物昆虫学会誌
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紫外線除去フィルムが3種のハナバチ類の外役行動に及ぼす影響
手塚 俊行前田 泰生
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1993 年 37 巻 3 号 p. 175-180

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抄録

ビニールハウスを被覆する紫外線除去(UVA)フィルムがハナバチ類の外役行動に及ぼす影響を生活型の異なる3種のハナバチ類でみた。ヤマトツヤハナバチでは全く出巣することなく巣口のガードに従事した。アルファルファハキリバチでは,ほとんどすべての個体が出巣したが,大半の個体はハウスの天井下部周辺で乱飛し,全く帰巣しなかった。真社会性のヒメハリナシバチでは,一部の個体は正常に外役活動を行った。これらのうち蜜荷運搬個体は24.5%,花粉荷運搬個体は19.3%,樹脂荷運搬個体は56.2%であった。一般農業用(CA)フィルム被覆下のそれは71.8, 19.8, 8.4%であった。樹脂の採材だけは正常であった。老齢で外役経験が最も豊富な樹脂荷運搬個体は,紫外線に依存しないで,ランドマークを利用して定位できるのではないかと考えられた。

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