日本応用動物昆虫学会誌
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札幌市におけるアワヨトウ多発世代成虫の発生圃場周辺での消長と性成熟程度および集団吸蜜行動の観察
斉藤 修北村 實彬
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1995 年 39 巻 3 号 p. 235-240

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抄録

1. 1987年6∼7月に北海道に異常発生したアワヨトウ第1世代の,成虫羽化消長と水銀灯,枯草トラップ,糖蜜トラップで捕獲した雌成虫の性成熟程度を7月下旬から8月中旬まで札幌市で調査した。また,多発圃場とその周辺で成虫の生息状況を調査し,これらの結果からアワヨトウ成虫の羽化後の行動を考察した。
2. 幼虫多発圃場から採集して実験室内に持ち込んだ蛹から7月下旬をピークに成虫が羽化した。各種トラップでは成虫羽化消長よりやや遅れて捕獲ピークがあった。捕獲雌成虫は8月上旬はほとんど未交尾で,卵巣は発育していない。8月中旬以降には雌の交尾率が高く,成熟卵を持つ個体が増加した。
3. 多発圃場では,7月下旬に多数の成虫がみられ,捕虫網による捕獲が容易であったが,8月上旬には成虫がみられなくなった。捕獲された成虫はすべて未交尾で卵巣は発育していなかった。
4. 7月下旬から8月上旬に圃場周辺林内の開花中のシナノキで,日中に多数の成虫の吸蜜行動が観察された。これらの成虫はシナノキの開花が終わるといなくなった。吸蜜していた雌成虫は未交尾で卵巣は発育していなかった。

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