日本応用動物昆虫学会誌
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マメハモグリバエの加害に対するキクの感受性の品種間差
末永 博石田 和英田中 章
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1995 年 39 巻 3 号 p. 245-251

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抄録

マメハモグリバエによる被害程度を,慣行防除条件下のスプレーギク84品種,および輪ギク2品種について調べた。さらに,スプレーギクについては開花日と被害程度との関係も調べた。
1) スプレーギク84品種,および輪ギク2品種の全てが幼虫に食害された。
2) スプレーギク84品種のうち5品種は食害痕が小さかった(幅が0.5mm以下)ため,ほとんど被害は目立たなかった(被害度‹微›)。他の16品種は,下位から上位葉まで全ての葉に,幅0.5mm以上の目立つ食害痕が多数見られ,その面積は葉面積の50%以上を占めた(被害度‹甚›)。残る63品種は,被害発生葉位と食害痕数とに従って被害度‹少›,‹中›,‹多›に分類された。輪ギク2品種は,被害度‹少›と‹多›であった。
3) 単位面積当たりの中(幅0.5∼1mm)と大(幅1mm以上)の食害痕の数は,被害度が大きくなるにつれて有意に増加した(p<0.01)。
4) 成虫によって吸汁された葉の割合,幼虫に食害された葉の割合,そして単位面積当たりの吸汁痕数は,被害度間に有意差がなかった。
5) 開花日は感受性の品種ほど早かったが(p<0.01),バラツキが大きく,感受性の有効な指標にはならなかった。

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