日本応用動物昆虫学会誌
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慣行防除圃場におけるコナガとその寄生蜂の発生動向
植松 秀男山下 勉
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1999 年 43 巻 3 号 p. 113-121

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抄録

慣行防除されている農家のアブラナ科作物圃場を中心にコナガの幼虫と蛹,およびそれらの寄生蜂の発生状況を調べた.寄生蜂は7種が認められたが,Cotesia plutellae(コマユバチ),Oomyzus sokolowskii(ヒメコバチ),Diadromus subtilicornis(ヒメバチ)の3種が優占種であった.コマユバチは春∼夏,および秋∼冬の両作期に安定して認められたが,ヒメバチは春∼夏作で,また,ヒメコバチは秋∼冬作で多く認められた.殺虫剤が全く散布がされていないか散布回数がきわめて少ない圃場(月当たり0.5回未満)では,コマユバチでは70%内外,ヒメコバチでは50∼60%,ヒメバチでは40%以上の寄生率が観察された.BT剤は寄生蜂にほとんど影響しなかったが,有機リン系,合成ピレスロイド系,およびメソミルなどの殺虫剤が月1∼4回散布された圃場では寄生蜂の発生量は著しく低かった.

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