1999 年 43 巻 3 号 p. 123-127
寄主を異とするトドマツノハダニの各個体群の寄生性と個体群間の生殖親和性を研究し,以下の結果を得た:
1. トドマツノハダニの針葉樹個体群と広葉樹個体群をそれぞれ広葉樹と針葉樹に接種して寄生性を調べた結果,相互に異なるグループの飼育植物上では生育が悪く,繁殖も困難であることから,生殖的隔離の存在が示唆された.
2. クリ類を寄主とする中国泰山産個体群と日本松戸産個体群との間には交配に際する雌雄認知に何らかの支障が認められ,F1世代の性比は雄に偏った.
3. 広葉樹個体群間の交配における組合せは,雌の産卵数には大きな影響は与えなかった.