5 巻 (1961) 3 号 p. 180-184
水稲へのカリ肥料の施用量とニカメイガ幼虫の成育との関係を明らかにするため,土壌栽培水稲での幼虫の野外飼育試験,水耕栽培水稲での幼虫の野外飼育試験,および水耕栽培水稲での幼虫の無菌飼育試験を行なった。いずれの飼育試験においても,幼虫の成育状態は土壌や水耕液中のカリウム濃度の高低によって影響を受けなかった。
土壌栽培水稲茎中の全窒素,可溶性窒素,全糖およびカリウム含量は,カリ施用量によってまったく影響を受けなかった。水耕栽培水稲茎では全窒素,可溶性窒素および全糖含量は,水耕液中のカリウム濃度によってほとんど変化しなかったが,カリウム含量は多カリ区で著しく多かった。このことから,幼虫の成育は水稲茎のカリウム含量そのものの多少によって影響を受けないことが推定される。
水稲茎のカリウム以外の化学成分は,カリ施用量によって著しく変化しないこと,および幼虫の成育は水稲茎のカリウム含量そのものによって影響を受けないことから考えて,水稲へのカリ施用量がニカメイガ幼虫の成育に著しい影響を及ぼすことはないと結論できる。