日本応用動物昆虫学会誌
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ニカメイガの越冬幼虫における生殖巣の発育とアラタ体の大きさの変化ならびに後休眠期間の長さとの関係
持田 作吉目木 三男
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1962 年 6 巻 2 号 p. 114-123

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抄録

越冬中のニカメイガ幼虫の生殖巣は,ある時期に急速に肥大・発育を開始することが知られている。また休眠中活動状態にあったアラタ体は,休眠覚せい(醒)とともに不活性となり一時的にその大きさを著しく減じることが明らかにされている。
ここでは,深谷らによって創始されすでに予察事業で実施されている一化期の発蛾時期を予察する方法の一つとしての加温飼育法において西日本特に九州における加温開始適期を決定するための基礎的研究として,生殖巣の諸形質を調査することによって休眠覚せいの時期を簡単に指摘することができるかどうかを検討し,更に休眠覚せいから蛹化までの後休眠期間の長さを知ろうとした。
(1) 雄の精子形成過程において,成熟分裂が終了したかどうかは,シストの形態が球型から西洋梨型になることにより簡単に判定できる。
(2) 休眠幼虫の雄では,もっとも発育している性細胞でも成熟分裂開始直前の状態で長く留っていた。雌では卵細胞と栄養細胞の区別ができない状態にあった。これらの事実はこれまでの知見と一致した。
(3) 越冬幼虫の生殖巣の発育開始時期とアラタ体の大きさの変化が起る時期との関係を調べると,アラタ体の大きさが減少し始める時に,越冬幼虫の生殖巣は急激に発育を始めた。すなわち雄では性細胞の成熟分裂が起り,こう(睾)丸の容積が増大し,雌では卵巣の屈曲が始まった。なおアラタ体の大きさの変化の過程は雌雄それぞれ一致した。
以上の結果と,アラタ体が一時的に不活性になる時すなわち,その大きさが減少し始める時にニカメイガの越冬幼虫は休眼から覚せいするとの従来の知見から,幼虫の休眠覚せいの時期は生殖巣の発育,特にシストの形態の変化を調べ成熟分裂開始の時期を把握すれば容易に判定できることが明らかとなった。
更に本研究によれば,後休眠期間の有効積算温度は平均雄で273日度,雌で286日度であった。

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