日本応用動物昆虫学会誌
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メチルジメトンによる果樹の樹皮処理(塗布)について
野村 健一須藤 昇吾清水 武秀田代 祐二
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8 巻 (1964) 1 号 p. 69-75

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抄録

メチルジメトン剤には,メタシストックス(P=O体・P=S体あわせて50%)と改良メタシストックス(P=O体のみ25%)とがあるが,最近は後者のほうが多く用いられ,果樹への塗布薬剤もこれが主体となっている。われわれはこの改良メタシストックスの塗布処理について,効果(薬量)および薬害の両観点から考察した。
1. 成木では,主幹より主枝または亜主枝に塗布するほうが経済的であり,その薬量は,(a)枝に投与されるべき絶対量,(b)樹皮単位面積あたりの塗布量(塗布液の厚さ),の2点から論議されるべきである。(a)は防除効果に,(b)は薬害に関係があるが(後者についてはあとで述べる),この中(a)は枝の大きさに応じて加減すべきはいうまでもない。従来,その薬量算出基準には,枝周・葉数・枝体積などがとられてきたが,枝周基準の方法は枝の大きさによって効果にむらがある(Fig. 2)。われわれは原理的には枝体積によるのが妥当であるとし,その適正薬量を次のように想定した。すなわち,アブラムシ類防除には枝体積1500∼3000cm3あたり原液1cc,ハダニ類には1500∼2000cm3あたり1ccが適量であるとした(春∼初夏の場合を標準として)。
2. 上述した各種の薬量算出法で求められた薬量対枝周の関係を比較考察した(Fig. 3)。上に提唱した薬量は,アブラムシ類の場合は,V1∼V2の範囲で示される。ハダニ類のそれは,V1からほぼP2の範囲がこれに相当する。
3. 実際問題としては,枝体積を測定して塗布量を算定するのはめんどうであるから,次のような方法を提案したい(簡易塗布法)。それは原液の引伸し塗布(樹皮100cm2に対し原液0.6cc∼0.8cc程度の)を行ない,かつ塗布範囲(塗布面積)は枝直径の3∼4倍長とするものである。これによって与えられる薬量は,Fig. 3のP1∼3の範囲と期待される。それは,上述した適正薬量にほぼ符合する。
4. 次に(b)(樹皮単位面積あたりの薬量)は,薬害と関連があり,特にミカンでは注意すべき事項であるが,これと塗布時気温との組合わせから,薬害(ミカン)の発生有無がおよそ見当つけられることがわかった。Fig. 4のSの範囲では,ミカンでも薬害発生の懸念はほとんどないと考えられる。

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