BHC剤を土壤に混入した場合の,水稲苗における根系からのγ-BHCの吸収移行について実験した。
実験の結果,相当多量のBHC剤を水田土壤に混入すると,γ-BHCが混入土壤から吸収されて水稲苗の地上部の植物体組織へ移行し,水稲苗に食入するニカメイチュウの孵化直後の幼虫に対して殺虫作用を現わすことが認められた。田植え直前のしろかきの際のBHC剤の土壤混入によるニカメイチュウの第1世代の防除効果の発現には,水稲苗における根系からのγ-BHCの吸収移行が重要な役割を果たしていることは確実である。
また,γ-BHCは水稲苗に寄生するトビイロウンカの長翅成虫に対しても同様に殺虫作用を現わすようにうかがわれた。
水稲苗における根系からのγ-BHCの吸収移行はゆるやかに,しかも微弱に起こることが示された。その移行量は土壤混入の薬量に比例し,また葉鞘で多く,葉身では少ないと認められた。