本研究では,在宅要介護高齢者の自立度・健康状態および主介護者介護力のアウトカムを利用者の自立状態および認知症(痴呆)の程度によって評価した.対象はA県内の介護保険サービス利用者329名.ケアマネジャーが担当事例を3時点でアセスメントし,アウトカムを測定した.結果,移動に障害が出ると,続いて上半身・下半身の更衣に障害がでやすいことが明らかになった.痴呆度が重い群が軽い群に比べて2か月後では,「ADL」「IADL」「精神能力」「症状」,6か月後では「介護力」も含めた項目で1.9~8.2倍,アウトカム悪化の危険度が高くなった.以上より,外出頻度を増やし,障害発生後もバランスや筋力を維持するリハビリテーション等を実施していく,痴呆度が重い場合,上・下半身の更衣や排泄,食事などのADL項目や,尿失禁などに焦点をあてたケアが重要であることが示唆された.