肥満は小学校高学年で高い出現率がみられるが、先行研究では夏季休業期間の生活習慣の乱れが肥満の引き金になると指摘されている。そこで本研究は、小学生の授業期間と夏季休業期間の生活習慣を比較し、体重や肥満度の増加との関連を検証して、児童生徒の健康管理に役立てることを目的とした。そこで、東海地方の市立小学校一校の4~6年生を対象に、1年次からの身長・体重をグラフに表し発育状況を把握すると共に、授業期間と夏季休業期間の生活習慣について質問紙調査を行った。調査は夏休みを挟んだ7月と9月に実施した。そして発育グラフと2回の質問紙調査が揃った児童208名(男子94名・女子114名)を分析対象とし、9月時点の肥満度によって肥満群と非肥満群に分類した。その結果、肥満群は4月から9月にかけての体重と肥満度の変化量が非肥満群より大きかった。また肥満群にはすでに低学年から9月の体重が大幅に増加する児童が多かった。さらに、肥満群は夏季休業期間の睡眠時間が短く、食事の乱れがあり、ルームエアコンの1日中使用も多く、授業期間・夏季休業期間とも外遊びや運動する機会が少なかった。これらから肥満形成には睡眠、食事、運動が関連しており、先行研究と同様に夏休みの生活習慣が体重増加を引き起こすことが推察された。肥満を防ぐ対策としては、7月にも体重測定を行い、夏休みの過ごし方に注意を促し、発育グラフを用いて継続的に健康管理を行うことが有効であると考えられる。