日本助産学会誌
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原著
少人数参加型の出産準備クラスに参加した男性の父親になっていく体験
永森 久美子堀内 成子伊藤 和弘
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2005 年 19 巻 2 号 p. 2_28-2_38

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抄録

目的
初めて父親になる男性が少人数参加型の出産準備クラスを受講した後, 妊娠・出産・育児にどのように向き合っていくのかその体験を記述し, 出産準備教育クラスの意味を探究する。
対象および方法
少人数参加型の出産準備クラスを受講した初めて父親になる男性6人に半構成的面接によりデータ収集した。面接は出産準備クラス終了後に一人の研究協力者に対して3回行った。今回はそのうち4人の面接内容を現象学的アプローチを参考にして質的記述的に分析した。
結果
4人の研究協力者の父親になっていく過程で, クラスに参加したことの意味として【妊娠や出産を自分の中で再構築し, 自分のこととして取り組んでいく】, 【夫婦二人で体験を共有するというプロセスから得られる満足感】, 【親になっていく過程で自信を付けていく】, 【妊娠中には考えられなかった出産後の生活に気がつく】という共通した体験が見いだされた。
結論
研究協力者は自由な対話形式で進められた出産準備クラスに参加し, 出産を間近に控えた同じような境遇の仲間と初めて出会い, 不安や問題を共有しあい, 自分たちより少し先を行く先輩の体験を聞き, 妊娠・出産をとらえ直し, 出産に向けて心の準備を行っていた。それらは妊娠からのプロセスでの夫婦共同の作業であり, 満足のいく出産体験をもたらした。しかし, 出産準備クラスに参加した後でも, 出産後の生活に対しては準備できていないと感じていた。

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© 2005 日本助産学会
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