日本助産学会誌
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新しく兄姉になる子どもと家族のクラス「赤ちゃんがやってくる」の実施と評価
中村 紋子片岡 弥恵子堀内 成子土屋 麻由美田中 しのぶ矢島 千詠
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2006 年 20 巻 2 号 p. 2_85-2_93

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抄録

 聖路加看護大学看護実践開発研究センターで始められた兄姉になる子どもが妊娠・出産,性について学ぶクラス「赤ちゃんがやってくる」の概要と実施状況を記述し,クラスの前後で実施されているアンケート結果を基に評価し,今後の課題を明らかにすることを目的とした。
 2004年7月から2005年12月までに11回の実施により,合計89家族の参加があった。1回平均8.1家族,25.9名の参加があった。参加した子どもの平均年齢は3.8歳であり,3歳児の参加が最も多かった。
 クラス前アンケートから,参加した理由は「新しく兄姉となる子どもが赤ちゃんを迎える準備」「妊娠・出産の理解」「立会い出産の準備」があげられた。親自身の「子どもに性(妊娠・出産を含む)について説明する際の準備」「上の子との関わり方を知りたい」という理由もあった。クラス後アンケートにて,クラスでよかったことは,「赤ちゃん人形の抱っこ」「人形による出産の劇」「紙芝居による妊娠・出産の話」と回答された。親とのディスカッションの時間もよかったこととしてあげられていた。出産後のアンケートによると,クラスの後,子どもたちは,「赤ちゃんのことをよく話すようになった」「お母さんのお腹に対してやさしくなった」「お母さんの手伝いをよくするようになった」などの変化があった。半数が,「自然な形で出産について理解できた」「子どもの立会いがスムーズだった」とクラスを肯定的に捉えていた。
 これまで実施してきた「赤ちゃんがやってくる」は,おおむね肯定的評価を得たが,今後の課題としては,有効な広報活動,マンパワーの確保,クラスの評価方法の再検討の必要性が示唆された。

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© 2006 日本助産学会
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