日本助産学会誌
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原著
周産期の死の「望ましいケア」の実態およびケアに対する看護者の主観的評価とその関連要因
米田 昌代
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2007 年 21 巻 2 号 p. 2_46-2_57

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抄録

目 的
 周産期の死(死産・早期新生児死亡)に対する「望ましいケア」の実態を明らかにするとともに,周産期の死のケアに対する看護者の主観的評価とその評価に関連する要因を明らかにすることを目的とした。
対象と方法
 北陸で分娩を取り扱っている産科施設に勤務し,周産期の死のケアに関わっている看護者に「望ましいケア」(先行文献より抽出した周産期の死を経験した母親の多くが望むケア)の実施度,周産期の死のケアに対する看護者の主観的評価と評価に関連する要因(【看護者の個人的要因】,【ケア要因】,【環境要因】,【対象要因】)について自己記入式質問紙調査を実施した。今回は評価したケースが5年未満の276名を分析対象とした。
結 果
 対象の年齢は平均35.5±9.3歳,産科就業年数は平均9.2±7.0年であり,職種は助産師が71.0%を占めた。「望ましいケア」20項目中13項目が70%実施されており,その内,児と家族が過ごせるためのケアは80%以上実施されていたが,退院後の継続的関わり,心理面の専門家やサポートグループの紹介は10%前後しか実施されていなかった。ケア評価は0点から96.8点の範囲で平均47.4±22.1点であり,「望ましいケア」の実施度,関わった時間,知識の多さ(学習経験・知識の程度,知識に対する自己評価),経験の多さ(年齢,産科就業年数,ケアの経験例数)と関連がみられ(r=0.26~0.58, p<.01),職種では助産師,ケア時の役割では受け持ちとしてや管理者として関わった看護者の方が評価が高かった。また,ケア評価は「望ましいケア」の実施度,関わった時間,産科就業年数より影響を受け,4要因で46.4%が説明された。
結 論
 「望ましいケア」20項目中13項目が70%実施されており,児と家族が過ごせるためのケアは80%以上実施されていたが,退院後のケアの実施については10%前後であった。ケア評価は平均47.4±22.1点であり,「望ましいケア」の実施度,関わった時間,産科就業年数より影響を受けた。

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© 2007 日本助産学会
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