日本助産学会誌
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原著
産科診療所に勤務する看護職の就業継続意志に影響を与える要因
田所 由利子
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2008 年 22 巻 2 号 p. 198-207

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抄録

目 的
 本研究の目的は産科診療所に勤務する助産師,看護師,准看護師が就業を継続できる要因を明らかにすることである。
対象と方法
 郵送法による自己記入式質問紙を用いた横断的量的記述研究である。対象は分娩の取り扱いのある136の産科有床診療所に勤務する看護職1,632人である。就業継続意志と職務満足,職場の要因についてのデータを収集し就業継続意志との関連について検討した。
結 果
 有効回答は122の診療所に勤務する看護職1,037人(有効回収率63.5%,助産師334人,看護師282人,准看護師421人)であった。就業継続意志のある者の割合は各職種とも80%以上と高率であった。職務満足度尺度の合計点数は各職種とも就業継続意志ありの者は就業継続意志なしの者と比べて合計点数が有意に高かった。各職種において,就業継続意志があることと「生活との両立」に満足していることとの有意な関連が認められ,そのオッズ比は2.2~2.7倍であった。助産師,准看護師においては医師と看護職の関係・専門職としての自律・看護管理の内容から構成されている「看護職の尊重」に満足していることと就業継続意志があることとの有意な関連が認められ,そのオッズ比は助産師4.5倍,准看護師3.8倍と,特に助産師において高値であった。看護職全体では他に「助産師が複数いる診療所」に勤務していること,「仕事の意義」に満足していることと就業継続意志があることとの有意な関連が認められた。
結 論
 産科診療所に勤務する看護職の就業継続意志に関連する職場要因として,「生活との両立」が行え,「看護職が尊重」され,「仕事の意義」を感じられる職場,「助産師が複数いる」職場であること,助産師においては特に「看護職の尊重」が重要であることが示された。

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© 2008 日本助産学会
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