日本助産学会誌
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原著
新人助産師の視座から捉えた分娩介助・継続事例実習指導の課題
中島 久美子國清 恭子阪本 忍荒井 洋子常盤 洋子
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2009 年 23 巻 1 号 p. 5-15

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抄録

目 的
 助産師教育課程を修了した新人助産師の視座から分娩介助・継続事例実習での学びが臨床現場に活かされた内容,臨床現場での困難・苦労の内容,実習で学びたかった内容を明らかにし,分娩介助・継続事例実習指導の課題を検討する。
対象と方法
 A大学卒業後3~4ヶ月の新人助産師7名を対象とした。データは半構造的面接法により収集し,分析はベレルソンの内容分析法を参考に行った。
結 果
 新人助産師が感じる実習での学びが臨床現場に活かされた内容の特徴として,【経験に伴う基礎的な助産診断・技術】,【産婦や助産師との関わりの中で学んだ助産師の責任と態度】他2つが抽出された。臨床現場での困難・苦労の内容は,【助産ケア経験の不足から生じる助産診断・技術への戸惑いと難しさ】他3つ,実習で学びたかった内容は,【母乳育児支援に対応するための助産師と共に行う乳房の診断ならびに保健指導】,【妊産褥婦および新生児の対象理解に繋げるための助産診断・技術】他2つが抽出された。
結 論
 分娩介助・継続事例実習指導の課題として以下の内容が示唆された。
1.分娩介助一例毎に振り返りを通して学習課題を確認する。
2.産婦に寄り添うケアの大切さを経験させ,助産師からの助言が受けられる実習環境を調整する。
3.分娩介助以外の助産ケアを経験できる実習時間の有効活用と学生の学習意欲を引き出す。
4.モデル的役割を担う助産師の母乳育児支援の場に学生が同席出来る実習環境を調整する。

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© 2009 日本助産学会
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