2009 年 23 巻 2 号 p. 217-229
本研究は,第1子である早産児の出生より1年から1年半の父親としての経験を明らかにすることを目的とした。対象者は,第1子である早産児の出生より1年から1年半経過した父親である。データ収集は,半構成的面接を用いた。分析は,質的帰納的に行った。対象者に研究の趣旨を文書と口頭で説明し,同意できる場合は同意書に署名を得た。同意をいつでも撤回できること,プライバシーの保護や同意をしない場合でも不利益を受けないことなどについて説明した。
対象者は6名の父親で,年齢は35歳から44歳,平均38歳であった。子どもの在胎週数は28週から33週,出生体重は980gから1,740gであった。
分析の結果,【妻子の生命への危惧と願い】,【妻への配慮】,【出生と五体満足の安堵感と感動】,【「普通の子」と異なるわが子への不安】,【子どもとの絆のはじまり】,【「普通の子」に成長するわが子を実感】の6カテゴリーが抽出された。
本研究より確認された早産児をもつ父親の特徴は,わが子を「普通の子」と比較し不安が生じた段階から,「普通の子」に成長し追いついてきたと感じることによって安心感を得ている過程であった。父親は子どもへの不安が強い段階では子どもを保護することにエネルギーを傾けているが,「普通の子」に追いついてきたと感じる段階で,子どものしつけを意識し始めるようになっていた。