日本助産学会誌
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はじめて育児をする母親の産後1か月における母親としての自信をつける介入
窪田 陽子小林 康江
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2012 年 26 巻 2 号 p. 232-241

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抄録

目 的
 はじめて育児をする母親への自信をつけるための助産師によるケアの効果を検証する。
対象・方法
 時系列準実験研究デザインで,対象は介入群27名,比較群35名のはじめて育児をする母親である。介入群へ産後2週(電話)と3週(面談)に自信をつけるケアを行なった。自信をつけるケアは「今日まで育児をしてきて,できるようになったと感じることはどのようなことですか」「育児をしていて頑張っているな,頑張ったなと思うことはどのようなことですか」に対する母親の語りを助産師がよく聴き,承認し,保証,肯定的な評価を伝えることである。日本語版「母親としての自信質問紙」(以下J-MCQ)を産後4~5日目(事前テスト)と産後1か月(事後テスト)に実施,t検定を行い,介入の効果を検証した。
結 果
 事前テストのJ-MCQ平均得点は介入群34.2点(SD=8.3),比較群34.5点(SD=7.9)で両群間に有意差はみられず(t=0.191, p=.849),事後テストも介入群46.3点(SD=9.1),比較群42.8点(SD=7.5)と両群間に有意差はみられなかった(t=1.663, p=.101)。各群の事前テスト,事後テストの変化を比べると介入群,比較群ともに有意な得点上昇がみられた(介入群:t=9.446, p=.000,比較群:t=6.28, p=.000)。
結 論
 はじめて育児をする母親への自信をつけるための助産師によるケアの効果は認められなかった。しかし,介入の有無に関わらず,産後4~5日目に比べ,産後1か月で母親としての自信をより持てることが明らかになった。

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© 2012 日本助産学会
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