2013 年 27 巻 2 号 p. 257-266
目 的
妊娠期に硬膜外麻酔による無痛分娩を選んだ女性がどのような理由で選択し,出産に至るまでにどのような体験をしているかを明らかにし記述する。
対象と方法
選択的無痛分娩で出産し母子共に妊娠から産後の経過が順調である女性14名に,産後入院中と1ヶ月健診時に半構成的面接を行い,質的記述的分析を行なった。
結 果
妊娠期に無痛分娩を選択する女性には,元来怖がりの特性,産後の体力を温存したい思い・子どもを安全に産みたい思い・前回の不本意な出産を払拭したい思いなどからの特有の背景があり【自分には無痛分娩しかない】と思っていた。さらには海外では主流である情報や経験者の話を聞いて【無痛分娩で産むことを正当化】し,無痛分娩で産むことにより,【妊娠中の安心感を獲得】していた。一方【無痛分娩で産むことの不安】や【無痛分娩への偏見に困惑】し,それぞれに対処しながら妊娠期を過ごしていた。
結 論
本研究結果から,妊娠期に無痛分娩を選択する女性は,自分には無痛分娩しかないと思い選択していることと,無痛分娩で産むことへの不安および偏見(という困難な側面に出会っていることを看護者は)を十分に理解し,そのことを配慮した看護支援が望まれる。