日本助産学会誌
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札幌市産後ケア事業を利用した女性の認識
野口 真貴子高橋 紀子藤田 和佳子安積 陽子髙室 典子
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キーワード: 産後ケア事業, 女性, 認識
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2018 年 32 巻 2 号 p. 178-189

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抄録

目 的

事業初年度に札幌市産後ケア事業を利用した女性の特徴と,利用した産後ケアに関連した産後や産後ケアに対する女性の認識を明らかにする。

対象と方法

対象は,2016年度札幌市産後ケア事業を利用し,6か所の委託助産所で産後ケアを受けた女性である。記述的研究デザインで,量的調査と質的調査の方法論間トライアンギュレーションを用いた。量的調査は,基本属性や受けた産後ケアの内容や満足度などを問う自記式質問票を用いた。質的調査は,産後ケアに対する女性の認識を問うインタビューガイドを作成し,半構成的インタビューを実施した。量的データはIBM SPSS Statistic 22を用い記述統計した。質的データは,Rapid Anthropological Assessment Procedure(RAP)に準じた。

結 果

2016年9月から2017年3月に札幌市産後ケア事業によるケアを受けた女性57名に量的調査を,21名に質的調査を実施した。49名(86.0%)が,札幌市産後ケア事業でうけたサービス,ケアに対して満足していたが,あまり満足していない,不満だった女性も少数,認められた。質的調査の結果,札幌市産後ケア事業を受けた女性には【出産施設で過ごした産後】,【出産後のつらさ】,【産後ケアを求めた理由】,【産後ケアでの実体験】,【助産院の特質】,【産後ケアに要する費用】,【産後ケアへの要望】という7つのカテゴリーで示される産後ケアにかかわる認識が認められた。

結 論

札幌市産後ケア事業を利用したほとんどの女性は,受けた産後ケアに満足していた。女性たちは出産後の育児と自らの生活上の困難を認識し,公的産後ケアの必要性と有用性を実感し,産後ケアの拡充と公的助成の継続を望んでいた。

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© 2018 日本助産学会
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