日本助産学会誌
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総説
妊娠前または妊娠中のボディイメージと妊娠中の体重増加量の関連に関する系統的レビュー
倉嶋 優希白石 三恵
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2019 年 33 巻 2 号 p. 117-127

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抄録

目 的

妊娠中の体重増加量に関連する要因として,近年,痩身願望などのボディイメージが注目されているが,その関連の詳細は明らかでない。本レビューでは,妊娠前・妊娠中のボディイメージと妊娠中の体重増加量との関連性を検討することを目的とした。

方 法

電子データベース(医中誌,CiNii,PubMed,CINAHL,PsycINFO)検索およびハンドサーチにより,各データベースの収録開始年から2019年3月までの和文・英文論文の検索を行った。検索には,「妊娠」「ボディイメージ」「体重増加」に相応する各データベースの検索語を用いた。その後,文献選択基準・除外基準に基づくタイトル,抄録,本文スクリーニングおよび論文の質の評価を行い,レビュー包括論文を選定した。

結 果

論文選考の結果,7件の論文がレビューに包括された。妊娠前のボディイメージを調査した6件のうち,痩身願望との関連を調べた3件の論文全てで,痩身願望を有する場合,妊娠中の過度の体重増加のリスクが高かった。また,体型認識との関連を調べた3件中1件の論文で,妊娠前の体型の誤認識は,妊娠中の過度の体重増加に関連していた。妊娠前の体型が標準の女性では,体型の過大評価が妊娠中の過度の体重増加に関連し,妊娠前の体型が過体重または肥満である場合には,体型の過小評価が妊娠中の過度の体重増加に関連していた。妊娠中のボディイメージを調査した1件の論文では,妊娠中に自分は太っていると感じることは,妊娠中の体重増加量と有意な負の関連がみられた。

結 論

妊娠前の痩身願望や体型の誤認識による妊娠中の過度の体重増加への関連が示唆された。妊娠中の適切な体重管理には,妊娠前のボディイメージを考慮した関わりが有効である可能性が考えられる。妊娠中のボディイメージと体重増加量の関連については,論文数が少ないため,更なる研究が必要である。

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© 2019 日本助産学会
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