日本助産学会誌
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助産師教育課程修了時の分娩期の実践能力を評価するOSCEの検討~卒業前の助産学生へのトライアル~
伊藤 美栄和泉 美枝藤井 ひろみ奥山 葉子平田 恭子細川 由美子滝川 由香里船木 淳眞鍋 えみ子高田 昌代
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2019 年 33 巻 2 号 p. 200-212

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抄録

目 的

助産師教育課程修了時(以下,卒業前)の分娩期の実践能力を評価するためのOSCE(以下,分娩介助OSCE)を作成し,卒業前の助産学生(以下,学生)へのトライアルを実施し評価法としての妥当性を検討する。

方 法

2017年3月~2018年3月の期間に2段階の研究を実施した。第1段階は臨床推論の課題を設定した分娩介助OSCEを設計した。シナリオは産婦の入院から分娩までを時間軸で切り取り4場面8課題を設定した。評価表は全国助産師教育協議会(2016)の「助産師学生の分娩期ケア能力学習到達度に関する実態調査」をもとに作成しパイロットテストを経て完成させた。第2段階は卒業前の学生へのトライアルとして学生2名の2レーンを3人1組の評価者6名で実施した。得られたデータを集計し,評価者間で評価が一致した項目,差異のある項目を抽出した。さらに評価者へフォーカスグループインタビューを行い,内容分析し量的データと統合して分析した。本研究は所属機関の倫理審査委員会の承認を得た。

結 果

評価者間の評価が一致した項目は「進行状態の予測」,「分娩準備のタイミング」,「躯幹娩出」,「出血の判断」の4項目であった。反対に「心理的サポート」,「分娩進行を促す支援」,「児の第一呼吸助成」,「外表奇形確認」,「異常の予防」の5項目は評価がばらついた。評価者からは診断能力はよく見えたが,態度面の評価は標準化が難しいこと,技術面は細かな基準を求める意見があった。

結 論

本OSCEは来院した産婦について情報収集や各種診察を行い,ケア方針を決め実践する能力を評価することを意図している。トライアルでは学生の臨床推論が可視化され,卒業前の学生の実践能力の評価法として妥当性が高いことが示唆された。今後,さらに妥当性を高めるために評価者の一貫性,評価基準の標準化,事例の数,課題数,所要時間,評価者数などの課題の改善を重ねデータ集積し検討する必要がある。

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© 2019 日本助産学会
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