日本助産学会誌
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原著
中堅助産師としての自信の尺度開発と信頼性・妥当性の検討
石川 智恵
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2020 年 34 巻 2 号 p. 143-156

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抄録

目 的

中堅助産師としての自信尺度を開発し,信頼性と妥当性を検討する。

対象と方法

文献検討,概念分析,中堅助産師へのインタビュー結果から中堅助産師としての自信尺度を作成した。プレテストを経て38項目に修正し,10件法のリッカート尺度とした。その後,全国の病院に勤務する,助産師経験6~15年の中堅助産師に質問紙調査を実施した。1,216名の中堅助産師に質問紙を配布して547名から回答が得られ,477名の回答を分析対象とした。探索的因子分析と共分散構造分析を行い,分析にはSPSS Ver.25及びAmos Ver.25を使用した。

結 果

探索的因子分析の結果,中堅助産師としての自信尺度は「マタニティケア能力に対する自信」「組織のリーダーに求められる能力に対する自信」「専門職としての責務ある行動に対する自信」「助産師としての自己研鑽に対する自信」の4因子22項目から成る尺度であり,現在の中堅助産師の状況を反映した内容となった。因子間の相関係数は.568~.771,尺度の総得点と各因子の相関係数は.765~.945であった。中堅助産師としての自信尺度の総得点とRosenberg自尊感情尺度の合計点との相関係数は.443,中堅助産師としての自信尺度の総得点と特性的自己効力感尺度の合計点との相関係数は.491であった。尺度全体及び各因子のクロンバックαは.705~.827であった。共分散構造分析の結果,4因子全てが関連し合っているモデルの適合度が最も高く,GFI=.834,AGFI=.787,CFI=.916,RMSEA=.087であった。

結 論

尺度は4因子22項目で構成され,尺度の内容妥当性,内的整合性,併存妥当性,及び信頼性が確認できた。本尺度は助産実践能力と中堅助産師に求められる役割についての具体的な項目で構成するため,中堅助産師が現在の助産師としての自分を客観的に振り返るツールの一つとして活用することができ,自己研鑽につなげることができると考える。

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