2023 年 37 巻 2 号 p. 173-184
目 的
本研究の目的は,第一に,腰痛や骨盤痛のある妊婦を対象にオンラインを活用したヨガプログラムを開発し,プロトタイプの実行可能性を評価することである。第二に,ヨガプログラムのアウトカム(腰痛や骨盤痛の部位や程度,日常生活障害度,抑うつ症状)の変化を明らかにすることである。
対象と方法
腰痛や骨盤痛のある妊婦で,妊娠期の異常や合併症のない者を対象とした。ヨガプログラムは,8週間で,毎日のヨガ実施,痛みの記録の記載,ヨガセッションで構成した。実行可能性の評価は,実用性(安全性・負担感),受容性,継続性について,Web質問票とヨガセッションでの意見をデータとした。また,ヨガプログラム開始前,参加中,終了時の腰痛や骨盤痛の部位や程度,日常生活障害度,抑うつの変化を測定し,3時点の推移を比較した。聖路加国際大学研究倫理審査の承認を得た(21-AC094)。
結 果
参加者は5名で,1名が途中中断した。実行可能性の評価の安全性は,ヨガプログラム中の異常な腹緊,気分不快,転倒はなかった。負担感は,概ね「軽い」とされたが,記録の記載は個人差があった。受容性は,教材については概ね高く,継続性は,教材を使用しながら毎日ヨガを行い,4名は最後まで取り組むことができた。3時点での腰痛自覚は,開始前5名中5名,終了時2名であった。骨盤痛自覚は,開始前4名中3名,終了時1名であった。痛みの程度は,開始前平均40(SD16.7),参加中32(SD29.5)と減少し,終了時32(SD29.5)であった。オズウェストリー腰痛障害質問票の平均は,開始前22%,参加中20%,終了時14%と減少した。エジンバラ産後うつ病質問票の平均は,開始前6点,参加中3点,終了時4点と減少した。
結 論
開発したヨガプログラムは,実行可能性があり,腰痛・骨盤痛の軽減の可能性が考えられる。今後は,対象数の拡大やヨガプログラム開始時期を再検討すること,対象施設や対象者数を増加させるための改善が必要である。