2024 年 38 巻 1 号 p. 70-80
研究目的
本研究の目的は,周閉経期女性における,1)避妊の意思決定と妊孕性の低下の認識の関連及び妊孕性の低下の認識の関連因子,2)避妊の意思決定と避妊行動の関連を明らかにすることである。
対象と方法
対象は研究協力が得られた40歳から50歳までの女性とした。方法は2021年7月~11月に無記名自記式質問紙調査を実施した。避妊の意思決定,妊孕性の低下の認識の測定にはVisual Analogue Scaleを用いた。また,避妊行動は避妊頻度,使用している避妊法を調査した。避妊の意思決定と妊孕性の低下の認識の関連及び妊孕性の低下の認識の関連因子,避妊の意思決定と避妊行動の関連について,ロジスティック回帰分析を行った。
結 果
質問紙を354名に配布し,分析対象は123名であった(回収率47.2%,有効解答率73.7%)。妊娠を望まない女性において,妊孕性の低下の認識が高い女性は,認識が低い女性に比べて避妊をする意思が弱く(OR: 0.30, 95%CI: 0.14-0.66),妊孕性の低下の認識には加齢による妊孕性の変化に関する知識が有意に関連していた(OR: 2.85, 95%CI: 1.16-7.02)。妊娠を望んでおらず,1年以内に性交があった女性において,避妊する意思が強い女性は性交の度に毎回避妊し(OR: 21.57, 95%CI: 5.30-87.83),効果の高い避妊法を使用している(OR: 4.20, 95%CI: 1.49-11.82)ことが明らかとなった。
結 論
妊娠を望まない周閉経期女性は,加齢による妊孕性の変化に関する知識を持っている方が,自らの妊孕性の低下を認識しており,避妊をする意思が弱かった。また,避妊をする意思を明確に持つことが毎回の避妊と効果の高い避妊法の選択につながっていた。このことから,望まない妊娠を避けるためには,周閉経期の特徴を捉えた妊孕性に関する知識を提供するとともに,避妊の必要性の理解を促し,避妊の意思決定を支援していく必要がある。