日本助産学会誌
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分娩期ケアの質の評価
産婦と助産婦による評価の検討
岸田 佐智藤本 栄子森 明子堀内 成子岩澤 和子恵美須 文枝内藤 和子鈴木 節子
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1996 年 10 巻 1 号 p. 20-28

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抄録

本研究の目的は, 分娩期ケアの質の評価を, ケアを受けた産婦側とケアの提供者である助産婦側から査定し, 両者の関係を明らかにすることである。質の保証モデルに基づき, 産婦が受けたケアの構造変数を医療介入, 過程変数をサポーティブケア (NSILQ) と日常生活援助, 結果変数を分娩期サービス満足度と出産満足度 (VAS) と外傷体験の各質問紙で測定した。また助産婦の提供したケアは, 構造変数を勤務経験年数, 過程変数をサポーティブケア (NSILQ) とモニタリングケア, 結果変数を仕事満足の各質問紙で測定した。さらに, 産婦と助産婦の双方の評価にかかわるケア提供システムの構造変数として病棟形態とケアの継続性を挙げた。分析の対象は, 8名以上の産婦と助産婦から回答が得られた17施設で, 産婦367名, 助産婦208名であった。
その結果,(1) 産婦が認知したサポーティブケアと助産婦が認知したサポーティブケアとの間に相関関係があった。(2) 産婦が認知した日常生活援助と助産婦が認知したサポーティブケアとの間に相関関係があった。(3) 産婦の分娩期サービス満足度と助産婦のサポーティブケアとの間に相関関係があった。(4) 病棟形態と産婦の変数である医療介入, サポーティブケア, 日常生活援助, 分娩期サービス満足度, 出産満足度との間に関連があった。

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