日本助産学会誌
Online ISSN : 1882-4307
Print ISSN : 0917-6357
ISSN-L : 0917-6357
パニック状態になった産婦の出産体験
その体験に含まれる要素と要因
湊谷 経子片岡 弥恵子毛利 多恵子
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 10 巻 1 号 p. 8-19

詳細
抄録

この研究は, 分娩経過中パニック状態になった産婦の出産体験の中から, 心理過程に含まれる要素と要因を探るために行われた質的記述研究である. 分娩時にかかわった助産婦がパニック状態になったと査定した褥婦9名を対象として, 出産体験についてのインタビューを行った. 分析の結果, 陣痛, ズレという2項目の要因と, 以下10項目の心理要素が抽出された. 1. 自信・余裕, 2. 驚き・動揺, 3. 自分の存在が脅かされる, 4. 恐怖, 5. 自分の手には負えない, 6. 先が見えないことへの強い不安, 7. とにかく辛い, 8. もういやだ, 9. なんか合わない→混乱, 10. わかっているけどできない=葛藤. また, 1から8の要素は, 陣痛の変化に伴って起こっており, 9と10の要素はズレから生じていることがわかった。

著者関連情報
© 日本助産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top