分娩時に産婦および助産婦が活用している発語内容を明らかにし, 産婦の主観的体験と助産婦の発語内容との関係を明らかにする目的で, 初産婦16名にビデオ録画を用いた分娩時参加観察法と自己記入式質問紙法を行った. その結果, 分娩第1期では, 分娩第2・3期に比較して有意に多く, 産婦と助産婦との間の二方向的な発語を認めた. また, 産婦の陣痛・出産時の対処・達成感の自己評価得点との間に有意な相関関係があったのは, 分娩第1期では単位時間当たりの助産婦の受容・同意の発語回数で, 分娩第2・3期では単位時間当たりの産婦の受容・同意の発語回数であった. このことから, 分娩期において分娩第1期は産婦と助産婦との人間関係構築のために重要な時期であると認識された. さらに, 産婦に受容・同意を継続して示すことが産婦の陣痛・出産時の対処・達成感の自己評価に好影響をもたらすことが示唆された.