1998 年 12 巻 2 号 p. 45-55
本研究では, 自然流産を経験した女性のソーシャルサポートを測定する質問紙を作成するための第一段階として, ソーシャルサポートの下位概念を検討した.
本研究ではHouseがソーシャルサポートの機能に関して提示している枠組み (「情緒的援助」,「評価的援助」,「手段的援助」,「情報的援助」) をもとに演繹的に概念枠組みを設定した.
自然流産を経験した女性への半構成的インタビュー (N=17) を行い, 得られたデータを内容分析した結果, ソーシャルサポートの下位概念を「自然流産の経験に対する情緒的支援」,「身体的安楽を保っための手段の提供」,「自然流産の経験に対処するための情報の提供」と再設定した. このうち,「自然流産の経験に対する情緒的支援」に含まれるカテゴリーである「プライバシーを尊重すること」は, 自然流産などの喪失を経験した女性に特有のサポートであると思われた.
本研究で得られたデータから, ソーシャルサポートの下位概念は互いに独立したものではなく, 相互に重なり合う部分があることが示唆された.