日本助産学会誌
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看護者のもつ性暴力に対する態度と知識
片岡 弥恵子堀内 成子
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2001 年 15 巻 1 号 p. 14-23

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抄録

本研究は, 看護者のもつ「性暴力に対する態度」,「性暴力に関する一般知識」および「性暴力被害者の看護」の理解に関する実態を明らかにし, 看護者の特性との関連について検討することを目的に行った。対象者は, 11病院, 1診療所の産婦人科, 外科, 救急に勤務する女性の看護者で, 研究協力が得られた379名であった。測定用具は, 翻訳版「Rape SupPortive Attitude Scale」(以下, 翻訳版RSAS) および研究者が作成した「性暴力に関する一般知識テスト」「性暴力被害者の看護テスト」を用いた。翻訳版RSASは因子分析の結果, 第1因子から順に「強姦にまつわる女性像と男性の正当化」,「強姦にいたる状況と女性の責任」,「女性の性的嗜好」,「強姦と男性の生理的欲求」の4因子が抽出された。
その結果, 3つの対象の特性 (助産婦, 産婦人科勤務者, 性暴力被害者の看護に興味ある者) が従属変数において有意差が認められた。助産婦は他の職種よりも, 性暴力被害者に対し好意的で, 性暴力に関する一般知識および性暴力被害者の看護の理解も高かった。また, 71%の看護者が性暴力被害者への看護に興味をもっていたが, ほとんどの者が性暴力被害者への看護について学ぶ機会をもっていなかったことより, 性暴力被害者への看護に関する看護者への教育の必要性が示唆された。

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