2002 年 16 巻 1 号 p. 48-57
分娩をした母親の90%が母乳哺育を希望しており, 助産師は母乳哺育確立, 継続のためのケアを提供している。しかし, その最終段階である断乳に関する研究は十分行われていない。したがって, 母親がどのような思いで断乳に臨んでいるのかを明らかにする必要があると考えた。
本研究では, 都内総合病院の母乳相談室に断乳ケアを受けるために来院した母親8名に, 6名の助産師が提供した断乳ケアを延べ22回の参与観察をし, それらの記述をテーマ単位で356単位に区分して内容分析を行った。
内容分析の結果,「断乳への戸惑い」,「戸惑っていたことに折り合いをつける」, 「女性であることの再認識」という3つのカテゴリーが得られた。
断乳ケアを受ける母親の思いは時間とともに変化し, その変化は, 母親が断乳をしたことを受け入れていく過程であった。断乳は母親にとっても, 子どもにとっても節目であり, 母子がきちんと向かい合っていくことの必要性がある時期であった。
母親はさまざまなゆらぎを感じながら断乳を受け入れていた。その過程は子どもとの新たな関係を築いていく過程でもあった。