日本助産学会誌
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出産教育の効果に関する概念モデルの作成と検証
亀田 幸枝
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2004 年 18 巻 2 号 p. 21-33

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抄録

目的
出産教育の効果を測定する概念モデルを作成し, その有用性を検証する。
方法
本研究の概念モデルの構成は, 構造変数として「自然な出産観と産痛の受容」,「主体的な取り組み」,「出産に対する夫の関心と協力」など個人の属性3変数を, 出産教育による介入変数として「出産に対するSelf-Efficacy」と「出産準備感」の2変数を, さらに, 出産教育の成果変数として「出産コントロールと満足感」および「自己成長感」の2変数を設定した。対象は, 北陸の産科施設の外来で健診を受け, 経膣分娩で健常な児を得た初産婦とした。調査方法は, 妊娠36週~41週までと産後4~7日目の2時期に同一対象から自己記入式質問紙調査を行い, 199名の回答を得た。分析は, 概念モデルからパスモデルを作成し, モデル内の変数間の関係性と説明力およびモデルの適合度を分析した。
結果
1) 個人の属性3変数のうち「主体的な取り組み」は,「出産に対するSelf-Efficacy」と「出産準備感」に最も強く影響していた (β=,23, p<.001; β=.43, p<.001)。
2)「出産に対するSelf-Efficacy」と「出産準備感」は, 正の相関関係を示した (r=.61, P<.001)。
3)「出産コントロールと満足感」に対して,「出産準備感」は影響していた (β=.28, P<.01) が,「出産に対するSelf-Efficacy」はほとんど影響していなかった (β=.05)。
4)「自己成長感」に対して,「出産コントロールと満足感」は最も強く影響しており (β=.46, P<.001),「出産に対するSelf-Efficacy」は直接効果 (β=.23, P<.01) を示し,「出産準備感」は「出産コントロールと満足感」を介して間接効果 (β=.13) を示した。
5) このモデルで設定した出産教育の効果を測るための「出産コントロールと満足感」と「自己成長感」の説明力はそれぞれ10%, 32% であった。
6) 適合度は, GFI (Goodness of fit index)=.962, AGFI (Adjusted goodness of index)=.849, CFI (Comparative fit index)=.935, AIC (Akaike's information criterion)=69.065であり, モデルとして良好であった。

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