日本助産学会誌
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ハイリスク新生児の母乳育児支援: 新生児系および助産系看護者の電動式搾乳器の使用に関する認識
横尾 京子村上 真理中込 さと子藤本 紗央里
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2004 年 18 巻 2 号 p. 71-77

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抄録

本研究の目的は, 勤務場所別に電動式搾乳器の使用に関する看護者の認識について分析し, ハイリスク新生児の母乳育児を支えるための電動式搾乳器活用上の課題を明らかにすることとした。
対象は, 2002年12月から2003年3月までに開催された学会や研修会に参加した看護者とし, 一部自由記載を設けた構成型質問紙を用いて調査を実施した。1,000人に質問紙を配布し, 403人から回収した (回収率40%)。そのうち, 学生, 搾乳指導未経験者, 教育管理系看護者の計118人を除いた285人を分析対象とした。データは記述的に分析した。
1) 285人中, ハイリスク新生児のケアに従事する新生児系の対象は157人 (55%), 母親のケアに従事する助産系の対象は128人 (45%) であった。2) 新生児系および助産系とも, 電動式搾乳器をハイリスク新生児の母親に勧めたくないとの回答は60%で, その主な理由は「圧調整が不可能」や「カップ部への強い圧」であった。3) 条件が整った電動式搾乳器でも勧めたくないとの回答は, 新生児系18%, 産科系21%で, その理由は「用手に対する情緒的肯定」「電動式搾乳器の機能や操作に対する否定的評価」「経済的負担」であった。
調査結果から, ハイリスク新生児の母親に対する電動式搾乳器活用上の課題として, 新生児系, 助産系に限らず, 適切な助言ができるよう, 電動式搾乳器についての系統的な学習の機会が必要であることが考えられた。

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