日本助産学会誌
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母子を取り巻くソーシャルサポートに関する研究
文献的考察(1)
有森 直子堀内 成子
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1991 年 5 巻 1 号 p. 40-48

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抄録

既存の研究報告から, 母子を取り巻くソーシャルサポート研究の特徴・方法論を明らかにし, 比較・考察し今後に必要な研究領域を明らかにすることを目的に, 系統的文献検索を行った.
方法は, 1980年から1990年にわたる看護学・心理学領域の雑誌・書籍より, 母子に関連したkeywordとして, ソーシャルサポート, ストレス, 悲嘆, 適応, コーピング, ピアグループを手がかりにMEDLINEを用いて一次資料を得た.
その結果, 原著論文の形式を整えていた6文献を選び比較考察した.
対象となった文献を, ソーシャルサポートをどのように位置づけるかによって, 1つはソーシャルサポートを対象の特性としてとらえた「対象論ソーシャルサポート」, もう1つはソーシャルサポートが看護ケアに含まれるか, あるいは看護ケアをソーシャルサポートの異なる対象に用いていた「援助論ソーシャルサポート」に分類した.
「対象論ソーシャルサポート」は対象の理解と看護の必要領域の査定には必須である.しかし, 専門家としての看護援助の研究としては, 看護ケアがソーシャルサポートの異なる対象にどのように評価されたか, または, ソーシャルサポートの機能自体を評価する「援助論ソーシャルサポート」の研究が今後の課題と思われた.

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