この研究は, 看護領域の不妊症に関する文献を検索し, 不妊症の人びとの心理的問題を取り扱う研究の特徴を明らかにし, 今後の研究に必要な課題を検討することを目的とした。系統的文献検索を行い, 主題別分類と年次別推移の傾向をみた。さらに, 心理面に焦点を当てた9文献について, 研究の焦点, 対象, 方法の観点から分類し, 比較検討した。その結果, 心理に関する文献は1980年以降増加しており, 1990年からは患者の体験・意味, 対処を主題としたものの増加が著しいこと, 本邦の文献数は全体的に少ないことがわかった。そして, 9文献の詳細な検討から, 対象とその体験している現象は何かということに研究の焦点が当てられていること, 不妊夫婦または不妊の女性が研究の対象に選ばれていること, 調査研究または質的研究が研究の方法として用いられていることがわかった。今後の研究の課題として, 対象の範囲を広げることや現象に関与している要因および要因間の関係を分析あるいは検証する研究が必要であることが明らかになった。