日本助産学会誌
Online ISSN : 1882-4307
Print ISSN : 0917-6357
ISSN-L : 0917-6357
周産期における母性意識の発達過程とマタニティブルーとの関連性
産褥期における調査
宮中 文子松岡 知子新道 幸恵脇田 満里子入澤 みち子渡辺 数江川中 洋子諸岡 豊子長尾 早枝子
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 8 巻 1 号 p. 32-41

詳細
抄録

女性は母親になる過程において, 発達危機に遭遇するといわれている。そこで, 産褥期に発症するマタニティプルーは, その危機的徴候の1つではないかと考えて, 産褥期にみられるマタニティブルー徴候と周産期において母親になる過程における母親の意識との関連性を明らかにすることを目的に, 270名の産褥を対象に, マタニティブルー (ZungのSDS他の抑鬱尺度使用, 以下抑鬱度という) と, 妊娠期・産褥期の母性意識, 分娩の満足度を自己記入式質問紙で調査した。有効回答の回収率100%。
その結果, 対象者特性は平均年齢28.6歳, 初産婦58%, 抑鬱度の平均は33.65 (SD=6.5) 点。平均点+1SDで「抑鬱群」・「非抑鬱群」の2群に分け, 分析した。
妊娠期と産褥期の肯定的な意識および, 高い分娩満足度のそれぞれの間に, 統計的有意差が認められた。さらに, 抑鬱群には, 妊娠期, 産褥期の母性意識の否定的項目, 分娩の非満足感との間に有意な関連性が認められた。

著者関連情報
© 日本助産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top